【法律コラム】被害届の取り下げ
2013-07-26
犯罪被害にあったとき警察に被害届を出すことになると思います。
被害届自体を受理してくれないということがよく問題になり、警察庁から受理するようにとの通達が出ているようですが、
http://www.npa.go.jp/pdc/notification/keiji.htm#keiki
被害届を受理してもらったあとにいろいろ考えて事件にしたくないということでやはり取り下げるということはあると思います。
家庭内のDV等で暗に取り下げるよう警察にいわれることもあるのではないでしょうか。
一度被害届を取り下げて、やっぱり泣き寝入りしたくない、と思った場合もう処罰してもらえないのでしょうか。
そもそも被害届とは何かというと、捜査機関以外の者による捜査の端緒(きっかけ)の一つで法規定のない場合で「被害申告のみであって告訴のような訴追の意思表示のないものである」とされています(田口守一「刑事訴訟法」第4版P65)。
意思表示でないということは、単なる事実行為であって、厳密には取り下げということが観念できないのではないかと思います。
被害の申告はもう行われていますから、警察には捜査のきっかけが与えられているわけです。被害届を取り下げたからと言って被害が申告されたという事実が消えるわけではありません。
従って、一度被害届を取り下げても再度やはり泣き寝入りしたくないということで捜査を求めることや告訴をすることはできるはずです。
にもかかわらず、一度被害届を取り下げたのだからもう捜査できないと警察で言われることもあるようです。
弁護士を通じ場合によっては告訴も辞さないということでないとなかなか動いてくれないということもあるようですね。
文責:弁護士 北嶋太郎