【法律コラム】認知と養育費

2013-08-29

結婚していない男女に生まれた子供の養育費を貰うためには、まず父親に認知をして貰う必要が有ります。父親がこれを拒否する場合、調停等の手続きによることになって認知まで時間がかかることがあります。

このような場合、出生した日にさかのぼって過去の分まで養育費を請求することを認めた判例が大阪高等裁判所平成16年5月19日決定です。

同決定によれば

1 養育費分担の始期について
・・・未成年者の養育費については,その出生時に遡って相手方の分担額を定めるのが相当である。
 原審判は,抗告人が養育費の支払を求めた平成14年6月を分担の始期としているが,未成年者の認知審判確定前に,抗告人が相手方に未成年者の養育費の支払を求める法律上の根拠はなかったのであるから,上記請求時をもって 分担の始期とすることに合理的な根拠があるとは考えられない。本件のように,幼児について認知審判が確定し,その確定の直後にその養育費分担調停の申立てがされた場合には,民法784条の認知の遡及効の規定に従い,認知された幼児の出生時に遡って分担額を定めるのが相当である。

ということです。注意しなければならないのが、「その確定の直後にその養育費分担調停の申立てがされた場合には」という前提が付いていることです。

判例のケースがどのくらい直後だったかというと、審判の確定が平成15年3月21日、戸籍の届け出が同4月2日、調停申し立てが同4月19日です。

どのくらい後ならダメなのかというのははっきりしませんが、認知が成立したらすぐ養育費の請求をすることを考えておいた方がいいと思います。

文責:弁護士 北嶋太郎